モーグル ワールド/ ”モーグルをもっと楽しく”が合い言葉

上村愛子
ジェニファー・ハイル
上村愛子選手
ジェニファー・ハイル選手

2009 FIS フリースタイルスキー ワールドカップ モーグル 序盤戦

2009 FIS フリースタイルスキー ワールドカップ モーグルの3戦目となるアメリカ・ディアバレー大会が1月29日に行われる。
注目は上村愛子選手の今シーズン2勝目なるか、そして指定席でもあるイエロービブ(WCランク1位)を奪取できるかである。

今シーズンの1・2戦をジャッジポイントから見てみると、なんといっても上村選手のターン点の高さが目立つ。
ターン点(15点満点)で1戦目予選13.00点・2戦目予選14.00点・決勝13.80点とただ一人全て13点以上をたたき出している。
これは、昨シーズンW杯5連勝を飾った源ともいえるターン技術が今シーズンも健在である証拠であり、さらに安定感が増したのではないだろうか。

1戦目こそデュアルモーグル準々決勝でJennifer Heil/ジェニファー・ハイル(CAN)に敗退し6位に終わったものの、2戦目では予選を25.81点でダントツの1位で通過し、決勝は25.53点で2位のJennifer Heil/ジェニファー・ハイル(CAN)25.51点とは僅差となったが、完全優勝である。

上位に入る選手の多くは予選は確実に滑り、まずは予選を通過、そして決勝でベストの滑りをするため、予選よりも決勝の方が点数は上がる。
しかし、2戦目の上村愛子選手は決勝よりも予選の方がターン点・エア点・スピード点全てで上回っていた。
予選から気を抜くことなく、2本とも自分の滑りを出し切ることができる体力・技術・精神力も備わってきたのではないだろうか。

とは言ってもまだまだ序盤戦、3月の福島県猪苗代で開催される世界選手権までに、海外6連戦することとなる。
体力・精神力が奪われる過酷な遠征を終え、上村愛子選手が世界選手権にイエロービブで登場することを期待したい。

ケガのリハビリから復活したJennifer Heil/ジェニファー・ハイル(CAN)・Hannah Kearney/ハンナ・カーニー(USA)の2人とも、1・2戦ともに表彰台に乗っているだけに、今後の女王争いは熾烈になるだろう。

伊藤みき選手は、大きなミスはなく安定感はあるものの、課題でもあるスピードがない。
上位選手よりも1〜2秒ほど遅い、ポイントにして0.6P?1Pほどの差がついてしまう。
初の表彰台を狙うためには、もっと積極的な滑りを期待したい。
課題を克服して、世界選手権での活躍に期待しよう。

今季より海外W杯初参戦の村田愛里咲選手は、経験の少なさからか、ミスをしてしまっている。
得意のエアでのミスまたはターンポジションが不安定なため、エアでの踏み切りがしっかりできていないのだろう。
女子では珍しいフルツイスト(1回転1回ひねり)を飛べる村田選手、世界選手権で大きなエアを見せてくれることを楽しみにしよう。

今シーズンの男子はカナダ勢が強く、W杯総合3連覇中のDale Begg-Smith/デイル・ベッグ-スミス(AUS)が影を潜めている。
1戦目はPierre-Alexandre Rousseau/ピエール-アレキサンダー・ルソー(CAN)が優勝し、2位にAlexandre Bilodeau/アレキサンダー・ビロドウ(CAN)。
2戦目はVincent Marquis/ビンセント・マーキス(CAN)が優勝、2位Alexandre Bilodeau/アレキサンダー・ビロドウ(CAN)、3位Pierre-Alexandre Rousseau/ピエール-アレキサンダー・ルソー(CAN)と表彰台を独占している。

ターンも正確でとにかく速い、そして大きなエアと全てにおいて頭一つ抜け出ている感じがある。
ただ、このまま黙っていないのがDale Begg-Smith/デイル・ベッグ-スミス(AUS)だろう。
ミスターパーフェクトと呼ばれ、中でも最大の武器でもあるターン技術は健在だ。
2戦目では予選・決勝ともにターン点14点以上はデイルのみ、今後の巻き返しでW杯男子も面白くなるだろう。

日本人選手では、上野修選手が1戦目に7位となり好調な滑り出しだったが、2戦目ではミスをして50位となった。
世界でもトップレベルのターン技術とスピードは、昨シーズンのW杯猪苗代大会でも証明されたのだが、今シーズンから取り入れているエア・7o(オフアクシス720°)が、まだ身についていないのか、不安定感が残る。

その他の日本人選手も思うように点数が伸びていないようだ。
ワールドカップという世界での舞台では、もっと積極的に滑ってほしい。
そして、3月の世界選手権での活躍を期待したい。

伊藤みき
伊藤みき選手
上野修
アレキサンダー・ビロドウ
デイル・ベッグ-スミス
上野修選手
アレキサンダー・ビロドウ選手
デイル・ベッグ-スミス選手