モーグル ワールド/ ”モーグルをもっと楽しく”が合い言葉

村田愛里咲・優勝
村田愛里咲が上村愛子に勝利
写真:優勝した村田愛里咲選手
写真:第2エアで上村愛子選手(左)はまだ飛んでいるが、もう着地寸前の村田愛里咲選手(右)

村田愛里咲選手が初優勝!上村愛子選手に勝利し大金星!

フリースタイル スキー 全日本選手権 デュアル モーグル 2008 北海道大会が、さっぽろばんけいスキー場のモーグルコースで行われた。

晴天に恵まれた今日は、朝は少し低く感じられた気温も徐々に上がり、春を感じさせるほどの陽気となった。

女子ではW杯モーグルの年間総合チャンピオン、上村愛子選手が最有力とされていたが、優勝したのはなんと若干17才の村田愛里咲選手だった。
予選を18.03点の6位で12名のみが進むことのできる決勝トーナメント進出を決めた。
一方、上村愛子選手は予選を22.75点の2位で決勝トーナメント進出を決めていた。
予選でのポイント差は4点以上、誰もが上村選手の勝利と思っていた決勝トーナメント2回戦、予選上位4名が1回戦をシードされ、村田選手は1回戦で佐渡島純子選手に勝利し、上村選手への挑戦権を得ていた。
二人が並んで滑り、スピードやターンの質、エアを競う見応えあるデュアルでの直接対決となった。

スタートして間もなく第1エア、なんとそこで先に飛び出してきたのが村田選手だった。
そしてその勢いは止まらない、世界一のターンとスピードを誇る上村選手から最後まで逃げ切ってしまったのだ。
決して上村選手が遅かった訳ではなく「村田選手が速かった」そして大金星を挙げることとなったのだ。

村田選手の勢いはその後も止まらず、準々決勝で水谷夏女選手に勝利し決勝へ。
決勝の相手は、予選を23.10点の1位で決勝トーナメント進出を決めていた伊藤みき選手、伊藤みき選手は準決勝で姉あづさ選手との姉妹対決に勝利し決勝進出を決めていた。
ここでも順当ならば、W杯で活躍している伊藤みき選手の方が実力・実績ともに上のはずだったが・・・
レースは決勝戦にふさわしい見応えのあるものとなったが、村田選手はここでも快進撃を続け、ゴールでわずか数十センチの差ではあったが先にゴール。
ターンは同点、スピードとエアで勝った村田愛里咲選手が「世界の女王」と「日本の次期エース」を直接対決で敗っての大きなタイトル、全日本選手権 優勝を果たした。

実は村田選手、予選の第2エアの着地で左手の親指あたりを負傷していたという。
決勝終了後のインタビューに答える左手には、痛々しくテーピングが巻かれ、アイシングをしていた。
それでもその痛みに耐え優勝を果たした精神力は、さらに大きな価値となるだろう。

今までは、すごい人達で追いつけるとは思っていなかったという上村選手、伊藤選手に勝てたことに「考えられないほどうれしい」と言っていた。日本一になることも「目標にしていたことなのですごくうれしいです」と17才の少女は「日本一」という結果に信じられない様子を隠しきれなかった。

今シーズンW杯猪苗代大会に初出場し、世界のトップ選手たちと戦い、身を持って世界との差を感じ「もっと練習しよう」と思い、この大会までに「バランス良く滑ること」を意識して練習をしてきたという。

中学1年生から始めたモーグル、福岡県出身で高校進学と同時にスキー留学のために北海道へ。
普段毎日練習しているばんけいスキー場、いわばホームコースで快挙を成し遂げた村田愛里咲選手、将来の目標は「オリンピックに出ること、できればバンクーバーオリンピックに出たい」という彼女の目標が達成されるのも時間の問題ではないだろうか。
明日、22日はシングルが行われるが、そこで得意のフルツイスト(1回転1回ひねり・女子選手では珍しい技)を飛ぶと明言してくれた。

(2008.03.21.21:00)

村田愛里咲が伊藤みきに勝利し優勝
写真:決勝で伊藤みき選手に勝利した村田愛里咲選手の滑り
村田愛里咲が予選で負傷
写真:決勝トーナメント1回戦ゴール後、左手を押さえて座り込む村田愛里咲選手